事務所ブログ

2014年3月18日 火曜日

不動産の使用貸借と親族間のトラブル

今日は不動産の使用貸借と親族間のトラブルの話をします。

賃料(家賃)を払って不動産を利用する賃貸の場合は,多くのケースで賃貸借契約書が作成されます。
ところが,今日お話しする不動産を無償で(ただで)利用する使用貸借の場合は,多くのケースで契約書は作成されていません。

不動産を無償で利用する場合というのは,親族関係など特殊な関係から利用させてもらっているケースが多く,民法上は「使用貸借契約」に該当します。

親族間の使用貸借契約は,もめることが想定されていなかったり,親族間で契約書を取り交わすことに対するためらいなどから,契約書が作成されないケースが散見されます。

ところが,親族間の使用貸借契約は,何らかの事情で貸し手側と借り手側の人間関係が悪化したりなどすると,突如としてトラブルとなることがあります。
その結果,借り手は貸し手から明渡しを求められることもあります。

トラブルの原因となる代表例が,「貸し手の死亡」です(借り手が死亡すると,民法上使用貸借契約は当然に終了しますが,貸し手が死亡しても使用貸借契約は当然には終了しません。)。

つまり,貸し手の死亡により,相続が発生してもめるケースが多く,これはいわゆる同族会社でも起こりうる事態といえます(たとえば,同族会社の社長が死亡し,社長個人所有の土地上に,他の親族所有の建物や同族会社所有の建物が建てられている場合など)。

なお,貸し手がこの点について考慮した内容の遺言書を残していたときは,トラブルを回避することが可能です。

それでは,使用貸借契約が終わったか否かは何をもって判断することになるのでしょうか。
使用貸借契約の終了原因については,特段の合意がなければ民法が適用されることになります。

民法は,使用貸借の終了原因について,
1.契約で返還時期を定めた場合はその時期
2.時期を定めなかった場合は,契約で定めた目的に従って使用及び収益が終わった時
3.使用及び収益を終わる前であっても使用及び収益をするに足りる期間を経過したと  き
と定めています(民法第597条)。

親族間の使用貸借でもめるのは,ほぼ,③のときです。

3の「使用及び収益をするに足りる期間を経過したとき」に当たるか否かについて,最高裁判例は,①経過した年月,②土地が無償で賃借されるに至った特殊な事情,その後の当事者間の人的なつながり,③土地使用の目的,方法,程度,④貸主の土地使用を必要とする緊要度など双方の諸事情を比較考慮して判断すべきという基準を設けています。

したがって,私たち弁護士は,貸し手,借り手どちらからのご依頼があっても,上記判断基準に該当する事実と証拠を徹底的に探し出し,それぞれの立場で主張・立証を尽くしていくことになります。

しかし,貸し手,借り手とも,親族間で裁判沙汰となるのが好ましくないことは言うまでもありません。
少しでも裁判となるリスクを回避するためには,事前にお互い納得して契約書を取り交わすことが重要であることはいうまでもありません。

大宮桜木町法律事務所では,使用貸借に関する契約書の作成,使用貸借契約の明渡案件(交渉,訴訟を含む。)等の親族間トラブルにも対応しておりますので,お気軽にご相談下さい。

弁護士小川武士


投稿者 大宮桜木町法律事務所

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