事務所ブログ

2015年2月 3日 火曜日

使用貸借7 使用借権か地上権か

前回と似た問題で,使用借権か地上権かが問題となることもあります。

地上権とは,他人の土地において工作物(建物など)または竹木を所有するため,その土地を使用する権利をいい,用益物権の一つとなります。

地上権は登記をすれば第三者に対抗することができ,また,建物所有目的で地上権を設定した場合には,借地借家法が適用されることになります。

その意味で,債権に過ぎず,借地借家法も適用されない使用借権と比べると,地上権は強力な権利といえます。

しかし,地上権は無償で設定することも可能であり,また,登記がなくても地上権設定契約は成立することから,使用貸借と地上権との区別が問題となるケースが生じます。

この点については,最高裁の有名な判例があり,以下のように判示しています。

「建物所有を目的とする地上権は,その設定登記または地上建物の登記を経ることによって第三者に対する対抗力を取得し,土地所有者の承諾を要せず譲渡することができ,かつ,相続の対象となるものであり,ことに無償の地上権は土地所有権者にとって著しい負担となるものであるから,このような強力な権利が黙示に設定されたとするためには,当事者がそのような意思を具体的に有するものと推認するにつき,首肯するに足りる理由が示されなければならない。」

「ことに夫婦その他親族の間において無償で不動産の使用を許す関係は,主として情義に基づくもので,明確な権利の設定もしくは契約関係の創設として意識されないか,またはせいぜい使用貸借契約を締結する意思によるものに過ぎず,無償の地上権のような強力な権利を設定する趣旨でないのが通常であるから,夫婦間で土地の無償使用を許す関係を地上権の設定と認めるためには,当事者がなんらかの理由でとくに強固な権利を設定することを意図したと認めるべき特段の事情が存在することを必要とするものと解すべきである。」

結局,貸主が土地を無償で使用することを許諾した事実だけでは,使用貸借と認定されることはあっても,地上権と認定される可能性はほとんどないといってよいでしょう。

大宮桜木町法律事務所 弁護士小川武士
電話 048-783-3523
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投稿者 大宮桜木町法律事務所

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