事務所ブログ

2015年12月26日 土曜日

犯罪行為を理由に懲戒処分をする際の注意 会社側弁護士ブログ

痴漢で略式起訴された駅員が諭旨解雇を争った事案において,解雇無効の判決が出たという報道がありました。

略式起訴とは,簡単にいえば,正式な裁判は行わず,罰金を納付する簡易な刑事手続です。
諭旨解雇とは,懲戒処分のうち,懲戒解雇を少し軽くした処分です。

ところで,会社は,従業員の私生活上の非行を理由として懲戒処分を行うことが可能となります。
たとえば,就業規則中の「不名誉な行為により会社の体面を汚したとき」に該当した場合には懲戒処分が可能となります。

従業員の私生活上の非行としては,今回の痴漢や万引き,酒酔い運転などがあります。

しかし,会社側として注意しなければならないのは,このような行為があったからといって無条件に従業員を解雇できるわけでない点です。

たとえば,痴漢を理由とした解雇が争われた事案において,最高裁は,「必ずしも具体的な業務阻害の結果や取引上の不利益の発生を必要とするものではないが,当該行為の性質・情状のほか,会社の事業の種類・態様・規模,会社の経済界に占める地位,経営方針及びその従業員の会社における地位・職種等諸般の事情から総合的に判断して,右行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価できる場合でなければならない。」という判断の基準を設けています。

新聞報道によると,今回の事案では,「行為の具体的状況から悪質性は比較的低い」,「起訴(略式起訴)だけを基準とし,悪質性や処分歴などを考慮しないのは処分の決め方として不合理」と判示し,解雇は行き過ぎで無効としたようです。

解雇が争われると,会社側,従業員側にとって大きな負担となります。今回のケースでは,解雇された以降1か月あたり約36万円の支払も命じていますし,不服のある当事者は,控訴することができます。

大企業に限らず,会社側は,このようなケースがあったときにどのような処分が相当か,訴訟リスクについて事前に相談できる弁護士が必要といえます。

弁護士は,このようなケースがあった場合,先ほど挙げた判断の基準等に照らし,アドバイスします。
たとえば,今回のケースでは,労働判例として重要な小田急電鉄事件などを詳細に比較検討していくことになるでしょう。


大宮桜木町法律事務所
弁護士小川武士
電話  048-783-3523
メール info@os-law.jp



投稿者 大宮桜木町法律事務所

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